俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
 

和樹さんと結婚し、一緒に暮らし始めて一週間。

私は日々和樹さんに嫌われ愛想をつかされるための努力をしている。

今朝みたいに物を落として大きな音をたてたり、料理を失敗して鍋を焦がしたり、調味料を間違えたり……。

まぁ、わざとやったことだけではなく、今のお味噌汁みたいに狙わずに失敗してしまうことも多々あるんだけど。


和樹さんは、私が失敗して煮立たせすぎたお味噌汁を、仏頂面で飲んでいた。

「すみません。お味噌汁おいしくないですね」

テーブルを挟んで座った私は、自分が作ったお味噌汁をひと口飲んでうなだれる。

「そうか?」

そんな私を見て和樹さんは不思議そうに首をかしげた。

「煮立たせてしまったせいで、風味が消えてしまったし舌触りも悪いじゃないですか」
「別に気になるほどじゃない」

彼は家事をする必要はないと言ったくせに、私が作った料理をいつも文句を言わず食べてくれた。
もちろん残業や仕事の会食で外食することも多いけど、予定のない日はちゃんとこうやって向かい合って食事をしてくれる。



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