俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
彼のぶっきらぼうな対応に慣れてきたせいか、初対面の最悪な第一印象よりも少しはとっつきやすくなってきた気がする。
偉そうなのは相変わらずだけど、思ったほど悪い人ではないのかもしれない。なんて感じてしまう私は、単純なんだろうか。
「そういえば、今日弟が家に遊びに来たいと言っているんですけど、いいですか?」
弟の隼人が、私の結婚生活を心配して様子を見に来たいと言っていたことを思い出す。
家族とはいえ勝手に部屋にあげるのは失礼かなと念のため確認すると、和樹さんはこちらを見て首をかしげた。
「弟は大学生だったか」
顔合わせの前にこちらが渡した釣書に家族構成も載っていたんだろう。
思い出すようにそう言った和樹さんにうなずく。
「そうです。東京の大学に通ってこっちでひとり暮らしをしているんです。大学が終わってからこの部屋に遊びに来たいって」
「別にかまわない」
「それで、その弟が顔合わせのときに……」
隼人が私の恋人だと勘違いされたままだったので、その誤解を解こうと口を開くと、テーブルの端に置いてあった和樹さんのスマホが震えた。