俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
「悪い。穂積の車が到着したようだ」
画面に表示されたメッセージを確認して立ち上がる。
「あ、はい」
慌てて私も立ち上がり、出かける支度を終えた和樹さんを玄関で見送った。
「いってらっしゃい。お仕事がんばってくださいね」
私がそう声をかけると、和樹さんはぎこちなくうなずく。そして扉を開け出ていった。
ここで『いってきます』なんて笑顔を返してくれたら、少しは本当の夫婦らしくなれるんだけどな。なんて玄関でひとり思う。
まぁ、あんな傲慢で頭の固い和樹さんにそんなことを望んでも無駄だろうけど。
これは愛のない政略結婚なんだから。
そう自分に言い聞かせ、朝食の後片付けをするためにキッチンへと向かった。