俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
 
確かに、俺のためにわざわざ料理を作ってくれているのかと思うと悪い気はしないし、玄関で『いってらっしゃい』や『おかえりなさい』と声をかけられるのも嫌いではないけれど。

でもそのせいでご機嫌というわけでは決してない。

「今日も鈴花ちゃんは愛情たっぷりの料理を作って待っていてくれてるのか?」
「鈴花ちゃんって、なれなれしく呼ぶな」と睨んでから、今朝かわした会話を思い出す。
「確か弟が部屋に遊びに来ると言っていたが」
「へぇ……」

俺の言葉を聞いた穂積は驚いたようにつぶやく。

「その弟はまだ家にいるのかな」
「さぁ。大学が終わってからくるとは言っていたが、詳しい時間は聞いてない」
「俺も少し部屋によっていい? おもしろそうだから」
「おもしろいって、なにがだ」
「久しぶりにかわいい鈴花ちゃんの顔を見たいし」

その言葉に俺が不機嫌に眉をひそめると、ルームミラー越しに俺の顔を見た穂積は「そうやって、いちいち嫉妬して怒るなよ」と肩を揺らして笑った。



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