俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
穂積と一緒に部屋に帰ると、玄関に男物のスニーカーが置いてあった。
それを見て「あ、まだ弟くんがいるんだね」と穂積がつぶやく。
ドアが開く音を聞きつけた鈴花がリビングから出てきて、「和樹さん。おかえりなさい」と出迎えてくれた。
「穂積さんもいらっしゃったんですね」
「少しだけお邪魔してもいいですか?」
「もちろんです」
笑顔でそんなやりとりをするふたりの間に、むっとしながら割り込んでたずねる。
「弟が来てるのか?」
「はい。それでその弟なんですが……」
そんな会話をしながら廊下を進みリビングに入る。そしてソファに座る男を見たとき、自分の目を疑った。
「おじゃましてます」
ドアを開けた俺に向かってそう言ったのは、黒髪に活発そうな印象の若い男。
どこかで見たことがある、そう考えてすぐに思い出す。
顔合わせのときに乗り込んできた、鈴花の恋人だ。
「なんでこいつがここにいるんだ」
振り返って鈴花に問うと、自分でも驚くくらい低く威圧的な声が出た。