「Last note」〜矢崎円香の恋慕事情。
「犯人は元彼だったんですね。」
「被害者は矢崎円香さん。 退院出来たのは良いんだが、身寄りがなくてね。CSSで預かろうと思ってる。難波、けして怖がらせるなよ?」
警察のとある事務所に連れてこられた私は、
ソファの上で毛布にくるまって暖かいお茶を飲んでいた。
保護してくれた比嘉警部補の声と、もう1人の声が外から聞こえてきたと思うと、ドアを開けて入ってきたのだ。
「……っっ!?」
身長180センチを越える大柄で、筋肉質の見知らぬ男性。
男性恐怖症になっていた私は、
傍で付き添ってくれていた女性の警官に思わず抱きついた。
「矢崎さん、少しは落ち着いたかい?
この人は体は大きいけど、怖くないよ。」
恐る恐る刑事さんの方を見ると、
ソファの前でそっとしゃがんだその人は、
怯える私に目線を合わせてくれている。
「初めまして、矢崎円香さん。
俺はガタイはいいが、堅苦しいのは嫌いだ。」
明るく…だけど落ち着いた声色で、
彼は細い目をして、優しく微笑んだ。
「…は、…じめ…まして。」
これが私と、刑事 難波 一徹さんとの、
最初の出逢いでした……。
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