「Last note」〜矢崎円香の恋慕事情。
歩道にやっと出た私はその時、

警察本部に行く方向の交差点の向こう側に

少し息をきらし信号待ちをしている
難波さんと目が合った。

初めて外に出てきた私の様子を見て、
細い目を見開き、驚いている。


「難波…さん!これ…!」

軽く息苦しいまま、

精一杯に声を張り上げて彼の名を呼ぶ。


私が掲げた資料を見つけると、
「それそれ!忘れちまった!」
と言ってるようなリアクションをする難波さんが面白くて、つい小さく笑ってしまった。
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