「Last note」〜矢崎円香の恋慕事情。
ーピッポー…ピッポー…

信号が青に変わった時だった。


渡るはずの難波さんの足が動くこと無く、

私の方を向いて両手を広げて叫んできたのだ。


「矢崎さん!こっちにおいで!
もう1歩、頑張ってみな!!」


笑顔でそう叫んだ難波さん…。

それはまるで、
父親が歩き始めた子供を励ます姿のようで。


薄らと父親が生きてた頃の記憶が
蘇ったかのように思えた私は、

交差点を走り出した……。

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