「Last note」〜矢崎円香の恋慕事情。
目の前には難波さんが、
両手を広げて待ってくれている…。

父親のような温もりを感じた私は、

資料を抱えたまま、

難波さんの胸の中に勢いよく飛び込んだ…。


「おっと、勢いがいいな。」

難波さんは私を抱きしめることなく、
大きな体だけで抱きとめると頭を撫でてくれた。

「資料、届けようとしてくれたんだな。
今、どんな気分だ…?」

「怖かった…です。でも…出れた。
やっと、外に出れて嬉しいですっ!」

難波さんが忘れた資料のお陰で、

1歩、踏み出す事ができた…。

それは私が1つ、
恐怖心を乗り越えれた瞬間だった…。
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