Daisy
「ねえ、聞いて。好きな人できたの。」
またいつものことか
「ねえ、あの人かっこよくない?」
本当に見る目ないなあ
またある時
「ねえ、彼氏できた!」
今回はどれくらい持つのだろうか
いつの間にか、もう僕のことを名前ではなく
"ねえ"と呼ぶようになった彼女とは
かれこれ4年目の仲になる。
この4年間に何人の男を紹介されただろうか。
出会いは高校1年生の夏休みが終わり
新学期を迎えようとした頃
屋上で彼女と初めて話した。
僕は母さんからの電話を友達に聞かれたくなくて
屋上に来ていた。
僕からしたら大したことないのだが
友達に聞かれてしまうと説明が面倒だったからだ。
「母さん、俺は大丈夫だから。うん、ご飯食べてるから。あ、でも、父さんに包丁なんて持たせられないから俺がちゃんとやってるよ。大丈夫だから、あの人にも宜しく伝えてね。」
電話を切った瞬間だった。
「ううっ、ぐす、ぐす」
鼻をすする音の方向を見た
「あ、」
「、、、あ」
泣いているのを見られた彼女と
見てしまった僕
どちらが気まずいだろうか。
いや、母親との会話を聞かれていたとしたら
確実に僕の方が気まずくないか?
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