アンドロイドに眼鏡は必要か?
「どうぞ」

「ありがとう」

簡易なキッチンはあまり使用感がない。
そういうところは、少しアンドロイドっぽい気がした。

「それで。
諦めて帰ってくれと言っても、あなたはまた、あそこにテントで居座り続けるんでしょう?」

「中に入れて残された研究を見せてくれるまでは居座り続けるわ」

カスミの前にはコーヒーとクッキー。
けれど、男の前にはなにもない。

そこまで徹底しなければいけないのかと、おかしくなった。

「わかりました。
僕の方が諦めます」

「じゃあ!」

テーブルの上に身を乗り出し、食いついてきたカスミに男が苦笑いする。
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