アンドロイドに眼鏡は必要か?
「嘘でしょ?」

「ほんとです。
調べてみますか?」

男の身体にふれてみたが、皮膚はなめらかで体温だってある。

ここまでは高性能アンドロイドだったらありえるが、脈があるうえにうっすらと汗すらかいている。

失礼を承知で内股を調べさせてもらったが、義務づけられている製造番号は刻まれていない。

さらには、眼鏡には度が入っていた。

「……人間にしか見えないんですが」

「僕は博士に作られた、特別なアンドロイドなんです」

にっこりと笑う顔に一分の違和感もなく、何度言われたって信じられない。

「だったら、度入りの眼鏡は必要ないでしょう?」

「開発途中の特殊な素材を使ったせいで、経年劣化で近視に似た症状がでているんです。
これは博士も、誤算だったでしょうね」
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