アンドロイドに眼鏡は必要か?
そんな素材は聞いたことがない。

最終的にカスミは彼が、自分はアンドロイドだと思いこんでいる変人だと片付けた。

あの、変人ヴァレットの子孫だ。
ありえる。

「とにかく。
この研究所に入れるわけにはいきませんので。
どうぞお引き取りを」

しつこく食い下がったものの、建物の外に押し出されたうえにドアを閉められた。

「見せてくれたっていいじゃない!
ケチ!」

どんどんドアを叩いてみたものの、中からは反応がない。
しばらく続けてみたが、無駄だとやめた。

「そっちがその気なら、こっちにだって考えがあるんだから」

カスミは持ってきた荷物の中から、テントを立て始めた。



ヴァレットは天才だが変人だった。
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