アンドロイドに眼鏡は必要か?
ヴァレットの話はよく聞くが、具体的な研究については誰も知らなかった。

日頃の研究に物足りなさを感じていたカスミはヴァレットの研究に興味を持ち、その行方を捜すようになる。

そうしてたどり着いたのがこの研究所というわけだ。



テントを張った翌日。

研究所から出てきた例の男と目があったが、無視された。

男は如雨露を片手に、建物の周りの花壇に水をやり始めた。

そこには、色とりどりの花が咲き乱れている。

「きれいな花壇ですね」

「……」

話しかけたけれどやはり、完全に無視された。

カスミにかまうことなく無言で水やりを終え、男は中に戻っていく。

「入れてくれるまで何日だって粘るんだから」
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