アンドロイドに眼鏡は必要か?
翌日もそのまた翌日も、男は花壇に水をやりにきたが、話しかけるカスミを無視し続けた。

そのまま一週間ほど過ぎたある日。

「いい加減にしてもらえないですか。
いくら粘られても、僕は研究所にあなたを入れることはできない」

初めて、感情を露わに男に怒鳴られたが、無視されなかっただけ嬉しい。

「そんなに怒るって、やっぱりアンドロイドじゃないんでしょ?
人間だったらそのうち、情にほだされて入れてくれるかもしれない」

「僕はアンドロイドです。
期待するだけ、無駄ですよ」

……はぁーっ、大きなため息をついて、男は研究所の中へと戻っていった。

「本当に変わっているわ。
……私も人のこといえないけど」

諦める気のないカスミもまた、テントに戻る。

そのままさらに三日が過ぎ。
< 8 / 32 >

この作品をシェア

pagetop