アンドロイドに眼鏡は必要か?
……嵐が、やってきた。

「飛ぶー!
テント、飛ぶー!」

嵐が来ることは天気予報で知っていた。
できる限りの備えはしていたものの、あっけなくテントは……崩壊した。

「うわっ、びしょびしょ!
大事なもの、防水袋に入れといて正解!
雨合羽なんて意味なーい!」

笑って強がってみたものの、枝や小石がバシバシ飛んでくる。
ビュービューと風は唸り、横殴りの雨に、さすがに命の危険を感じながら、必死でテントを立て直そうとするがままならない。

「なにやってるんですか!
死ぬ気ですか!」

豪雨に負けじと怒鳴るような声に振り返ると、男が立っていた。

「来なさい!」

「ちょっと待って!」

カスミの手を取り研究所に戻っていこうとする男に、慌てて貴重品袋を掴んであとに続く。
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