夢はダイヤモンドを駆け巡る

　小神は一番初めに能力を譲ってくれた女性の夢を覗き見たと言っていたはずだ。そこで小神は彼女の悩みを偶然にも知ってしまい、彼女の力になろうとする。しかし彼女を激怒させてしまった――

　そんな風に語っていたはずだ。



――彼女にとってその悩みは絶対に他者に知られたくないものでした。しかしお節介にも私は彼女のその悩みを解消しようという思いに駆られ、彼女にその夢を見たことを打ち明けたのです。



　ひょっとすると、小神に能力を譲った「彼女」とやらが今そこにいる〝比奈さん〟なのではないだろうか。

　そんな風に推測してみる。

　とすると、さっき比奈さんが口にした言葉――あなたは自分の能力を使って他人のプライバシーを侵害している――の真意も明らかになるから、あながちこの推測は的外れでもないだろう。