夢はダイヤモンドを駆け巡る
 かちゃん、と乾いた音を立てて小神の右手から箸が転げ落ちた。

 そのままテーブルの端まで転がり、カラカラと音を立てて食堂の床にカーンカラカンッと派手な音を立てて落下する。

 食堂全体に響き渡るその金属音は、小神の運命をまるで暗示しているようではないか!

 ははは! 快感だ!

「見てください、今日わたしが注文したCランチを! このおいしそうなぶりの照り焼きを見て、何も心が動かされないとでも?」

「……しかし、問題は味です」

 せめてもの反撃にと繰り出された小神の抵抗は無駄だった。

 肝心の問題点を抑えることなく小神に立ち向かうほどわたしは阿呆ではない。

「味は文句なしですよ。脂の良く乗った身に、砂糖醤油がじゅわ~っと染み込んでいて、午後からの授業もバリバリ頑張れそうです!」

「クッ……私にも一口……」

 小神は顔を歪め、身体を二つに折る。

 それはまさしく敗北した兵士のポーズではないか!

 わたしは高笑いを止められなかった。

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