夢はダイヤモンドを駆け巡る
第5話
おずおずと切りこんでみる。けれども、
「野球選手って……子供じゃないんだから」
間髪いれず即答。苦笑を交えて。
その苦笑に、思わずわたしは赤面した。わたし、かなり馬鹿なことを訊いたのかもしれない、と。
でも正直のところわたしにはよくわからなかった――果たしてわたしの質問が子供じみたものだったのかどうか。プロ野球の世界なんて、何も知らないのだから。
どうにも判断のしようのないわたしは
「そ、そうだよね。子供みたいなこと言っちゃったね……失礼しました」
と、慌てて俯きながら発言を撤回した。
それからしばらく、気まずい沈黙が流れる。
どうしよう、かなり触れちゃいけないことをわたしは聞いてしまったんだろうか……などなど、葛藤を繰り広げていると、
「今のところは大きい商社に入りたいと思ってる」
穏やかに松本くんが口を開いた。その声は怒っているようには聞こえず、とりあえずわたしは安心する。
……でも、夢が商社マン? ではいったい何のために今あれほど一生懸命に野球部の活動に取り組んでいるのだろう。
疑問を感じざるを得ない松本くんの答えに、わたしは首を傾げる。
「でも、ずっと野球は続けたいって思ってるんじゃないの?」
思わず口をついて出たわたしの言葉が適切だったのかどうか、わからない。
しかしあまりにも正直すぎるわたしの疑問が松本くんの機嫌を損ねたことに間違いはなさそうだった。
その証拠に、松本くんは全くわたしの方を見ずにこう答えた――星野には関係のないことだから、と。
「野球選手って……子供じゃないんだから」
間髪いれず即答。苦笑を交えて。
その苦笑に、思わずわたしは赤面した。わたし、かなり馬鹿なことを訊いたのかもしれない、と。
でも正直のところわたしにはよくわからなかった――果たしてわたしの質問が子供じみたものだったのかどうか。プロ野球の世界なんて、何も知らないのだから。
どうにも判断のしようのないわたしは
「そ、そうだよね。子供みたいなこと言っちゃったね……失礼しました」
と、慌てて俯きながら発言を撤回した。
それからしばらく、気まずい沈黙が流れる。
どうしよう、かなり触れちゃいけないことをわたしは聞いてしまったんだろうか……などなど、葛藤を繰り広げていると、
「今のところは大きい商社に入りたいと思ってる」
穏やかに松本くんが口を開いた。その声は怒っているようには聞こえず、とりあえずわたしは安心する。
……でも、夢が商社マン? ではいったい何のために今あれほど一生懸命に野球部の活動に取り組んでいるのだろう。
疑問を感じざるを得ない松本くんの答えに、わたしは首を傾げる。
「でも、ずっと野球は続けたいって思ってるんじゃないの?」
思わず口をついて出たわたしの言葉が適切だったのかどうか、わからない。
しかしあまりにも正直すぎるわたしの疑問が松本くんの機嫌を損ねたことに間違いはなさそうだった。
その証拠に、松本くんは全くわたしの方を見ずにこう答えた――星野には関係のないことだから、と。