夢はダイヤモンドを駆け巡る
「……」



 すさまじい推理ゲームに、わたしは発するべき言葉を失った。

 小神って本当に頭の回転が速いんだなあ……色々と腹が立つ上級生だが、それは認めざるを得ない。

 この調子だと去年の時点でわたしのクラスだとか出身中学とか全部調べ挙げていたんだろうなあ。

「納得できましたか?」

「……はい、大いに納得です」

 素直に認める。

「こういう経緯で私は松本くんが一年一組に在籍する野球部員であることを知り、さらに情報を集めることで彼が中学時代、野球部のスーパー・スターであることも知ったのです。

 そんな松本くんが、一年生の五月に全く別のクラスでかつ成績下位、ましてや出身地域や中学校も異なる星野さんと、どうして知りあうことがあるでしょうか?」

「成績下位は余計なお世話です」

 もはやこの程度の罵倒の言葉など慣れたものだが、一応自分の名誉を守るためにささやかな抵抗だけは示す。
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