私の彼氏は真面目過ぎる！【完】

第2章 25歳、恋愛再開します。

第一話 素敵な出会いがほしい！

　あれから2年が経ち、私は25歳の誕生日を今日迎えた。
　あの後、覚悟を決めて転職をし、ずいぶん労働環境の整った事務所で働くことになった。住処も移し、翔馬と飲んだ繁華街へは近づかない生活を送っている。
　転職の際に資格の勉強や語学の勉強を積んだことで、自分に自信がついたように思う。
　今の仕事には英語は必須。TOEICのスコアも学生時代とは比較にならない高水準。日本語を使っているときより、英語を使っているときの方が、本心を表現できているような気もする。

　誕生日だから、早く上がっていいよ、という上司の言葉に甘えて（前の職場じゃありえないお言葉だ）、私は誕生日会の会場へ向かった。
「ハッピーバースデー、ひばり！」
　翔馬との交際に黄色信号を出してくれた、大学の同期たちが今日この日を祝福してくれた。
　私の大好きなワインが豊富に揃った、小洒落たお店だ。貸し切りではないけれど、店内にいた他のお客さんたちも、流れ出したバースデーソングに合わせて祝ってくれた。
　こういうささやかな出来事に、幸せを感じるようになれた。それが成長の証かもしれない。

「ひばり、大人の女性になってきたよね」
「そうだね、仕事に打ち込むカッコいい女になってきた」
「昔のひばりとは大違いだよねー」
　友達が浴びせるそうした言葉が、何よりの私へのプレゼントだった。
　みんな心の底から私の不安定な恋愛遍歴と男へのだらしなさを心配してくれていた。
　今夜ここに集まってくれた3人の同期は、それぞれに夫がいたり彼氏がいたりと、充実したプライベートを過ごしている。
「最近ひばり、男性の方はどうなの？」
「彼氏いないの？」
　変に気遣うでもなく投げかけられた問いに、私は
「仕事に集中したいの、今は」
ツンと答えてみせたが、すぐに思い直し、正直な気持ちを吐露する。
「……なんて、嘘。本当はまだ怖いの。男を見る目に自信がない」