私の彼氏は真面目過ぎる!【完】
 スマートになってきたなぁ……さっきのメモにもあったけど。
 店を出てからも頑なにお金を受け取ろうとしないので、素直に奢られておく。
 いつか別の機会にお返ししようと心に決めつつ、2人並んで駅へと向かっていると。

 アーケードの下を向かいから歩いてきた、私と同じ年くらいの一人の女性が、我々とすれ違いざまに声を掛けてきたのだった。
「結城先輩?」
 浩太郎も私も足を止める。誰だろう、と浩太郎を見上げると、浩太郎は女性の顔を数秒観察してから、
「もしかして、道川さんですか?」
青い顔をのけぞらして言った。

 道川さん?
――っていうことは、あの道川佐央里!?
 浩太郎が大学時代に酒の勢いで絡んでしまった、研究室の後輩ってこと!?

 なんだかややこしいことが起こる予感……。
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