私の彼氏は真面目過ぎる!【完】
「浩太郎、別れよう」





 ついに切り出した最後のセリフ。

 たったこれだけの短い言葉を発するのに、どれだけ勇気が要ったことか。
 その時の両手は、汗でじっとりと濡れていた。なんだか体が熱い。

「……僕たち、わかり合えないね」

「今まで短い間だったけど、ありがとう」

 それが私たちが最後に交わした会話だった。

――ああ、私たち、終わったんだ。

 静かにスマホを机に置く。
 通話を切った後、びっくりするほど私の体は冷たくなっていた。
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