私の彼氏は真面目過ぎる!【完】

第三話 運命の人とは、お酒が飲めない。

 うっかりミスで申し込んでしまった、【飲めない男女大集合!お酒が苦手なお仲間を探している方必見・ノンアルコールパーティー★】当日がやってきた。

 休みの日だけれど早めに起床し、スキンケアやネイルのケア、ヘアセットに時間をかける。
 こんなに外見に気を遣うのは、2年ぶりかもしれない。
 この2年は仕事に燃える日々で、おしゃれに気を遣うことをむしろタブーにしてきた。

 2年という月日は、世の中の流行をがらりと変える。
 服の流行りもずいぶん変わっているはずだし、買いに行こう!と決意。

 昨日の仕事帰りに、間に合わせのようにして私はデパートへ行き、ワンピースを購入した。
 タイトなIラインの、できる女性風ワンピースか、ふんわりとしたAラインの清楚な女性風ワンピースかで悩んだ。
 しかし店員さんに婚活目的だと告げると、後者を強く勧められた。
「婚活に来る男性はこういうデザインがお好きですよ」とのこと。
 そういうものなのかあ、と私は何となく納得したふりをして、優しい色合いの花柄ワンピースを購入したのだった。
 こうやって世の女性は型にはめられていくのだ!と憤慨したところで、仕方ないのかもしれない。

「飲めないふり、飲めないふり」

 今日のパーティーの趣旨を忘れてはなるまいと、自分にそう言い聞かせながら私が会場に着いたのは、パーティー開始10分前。
 駅近の雑居ビルの5階にある会場。

「いらっしゃいませ!」

 入るとまずさわやかな男性スタッフが深くお辞儀で迎えてくれた。顔立ちの整った人だ。こういう人が受付にいれば、不思議と期待値が上がってしまう。もちろん参加者ではないのに。
 名前を告げると、まずは身分証明書のチェック。
 次に番号札を手渡された。
「朝井様の番号は5番でございます。5番と書かれたブースにおかけください。それから、」
 スタッフが手渡してきたのは一枚のカードとボールペン。
「開始までのお時間に、こちらのプロフィールカードをご記入ください」
「プロフィールカード?」
「お相手に見せて、会話のきっかけにしていただくカードです」
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