私の彼氏は真面目過ぎる!【完】
 田舎では一人一台が当たり前なので、どうしても普通車ではなく軽自動車を持つことになる。軽自動車は都会で言えば自転車のような存在だ。
 でも高級車ではなく軽自動車で迎えに来る素朴さが、この日は私の胸を打った。

 都会でスレてしまった自分の心をつくづく実感するばかりである。

 車の中は雑誌やお菓子の食べかけで散らかっていた。それは見ないようにして、
「ランチって、どこで食べるんですか?」
 助手席に乗り込むとまずその点を確認する。
 まさか街にまで出るわけではあるまい。
 すると、陽人さんはニコッと歯を出して笑った。
「俺の中学の同級生が経営してるカフェがここから2、30分ほどのところにあって。
 それから、俺たち一応同い年みたいだし、タメ口でいかない?」
「……うん、じゃあタメ口で」
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