私の彼氏は真面目過ぎる!【完】
 お皿を運んでくるたびに、サトミだかジュリだかマヤだかは、じーっと私を観察する。

「へーえ……」
 ギリギリ聞こえるくらいの小さな声で反応しないでほしいな……。

 こんなにぶしつけに至近距離で眺められるのは、都会じゃなかなかない出来事だ。

 もとはこの辺りの田舎の人間とは言え、すっかり都会の空気になれてしまっていた私は、戸惑ってしまう。

「ごめんね、なんか嫌な思いさせてる、俺?」

 さすがにこの事態には気がついているようで、陽人さんは眉尻を下げた。食べ方はお世辞にも綺麗とは言えなくて、口の周りにソースがついてしまっている。

「ううん、気にしないで」

 本当はちょっと気になっているけれど、私は首を振った。

 友達が見合い相手連れてきたら、そりゃどんな人か見たくなるよね?
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