私の彼氏は真面目過ぎる!【完】
 とんとん拍子に陽人さんとの交際も決まったところで、連休最終日、私は街に帰らなくてはならなかった。

 まだ仕事も続く。結婚するその直前までは、働いていたい。

 今の商社で働き出したのは、ダメな自分を変えて、力を発揮したいという動機によるものだった。

――結局、英語の力は翻訳の面で活かせたけれど、キャリアアップとは無縁だったな……。

 そんな一抹の後悔が胸にないと言えば嘘になる。しかし、結婚には代えられない。

 陽人さんのように仕事熱心で明るくて大らかな人が、私に合っているのだと思う。

 翔馬のようなチャラさもなく、浩太郎のような行き過ぎた真面目さもない。

 やはり何事も中庸が一番なのだ。こんな最高の男性と巡り会う機会などそうあるものではない。

 私は自らに言い聞かせるように、街へと戻っていった。
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