私の彼氏は真面目過ぎる!【完】
 簡単なパーテーションで囲われた半個室のようなブース。
 そこには小さなテーブルと、テーブルを挟み2脚の椅子が用意されている。向き合うような形で。
 先述の通り、現在のところこの5番ブースに腰掛けているのは私だけ。
 ネットで予習したところでは、この向かいに男性がやってくるはずだ。
 誰かがやってきたら、まず少しお話してみようかな。

 なんて思いながらカードを埋めていく。

 他に書いたこととしては。

趣味:英語の勉強(まさか居酒屋巡りとは書けない)
タイプの男性:真面目な人(本当にこれでいいのか???)

 他にもとりあえずカードには基本的には当たり障りのない程度の本音を書いておく。
 これで、第一印象が最悪!ということには、ならない……はずだ。

 カードを書き終えたとほとんど同時に、私の隣に男性が腰掛けた。
 ちょっと太り気味の男性。はあはあと、息を荒くしている。
 来ているグレーのポロシャツには汗地味が出来ている。
 走ってきたのだろうか。
「あの、」
 私が話しかけようとした、その時だった。
 司会者が現れ、パーティーが始まってしまった。
 残念ながら、雑談をすることはできなかったけれど、いよいよだ! 私の婚活!
 頑張るぞ!
 お酒は飲めないふりをすることを忘れるなよ、朝井ひばり!


「今日の参加者は男女ともに7人! 素晴らしいバランスです!」
 司会者がテンション高く告げた。
 だーれも反応しない。
 司会者さん、お気の毒です……。

 意外とこぢんまりとしたパーティーだ。
 大丈夫かな? たった7人の中から、本当に私にとっての運命の人は、見つかるんだろうか……。
 そんな不安を、占いを信じることで振り払う。

 今日のパーティーの詳細を再度司会者が確認してくれた。

「本日のパーティーにお集まりいただきましたのは、お酒が苦手な男女です!

 男性は28歳から38歳のみなさま、女性は22歳から29歳のみなさまにお集まりいただきました。

 流れをご説明いたします。

 まず最初にいわゆる回転ずしスタイルのトークタイムを、8分ずつ設けさせていただきます。

 ここではプロフィールカードをお互いに見せ合い、自己紹介を中心にお話ししてください。

 移動は男性に行っていただきます。ご自分のスタートブースより、1つずつ数の小さいブースへご移動をお願いいたします。

 7人の異性全員とお話を終えますと、次に1回目の投票を行います」
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