私の彼氏は真面目過ぎる!【完】
「投票」。
 その言葉にドギマギしてしまう私。

「トークタイムで気になった異性の番号を投票用紙に書き、スタッフにお渡しください。
 第一希望から第五希望まで欄がございます。
 できるだけ多くの方の番号をご記入ください。

 それをスタッフが集計し、あなたのことが気になる異性の番号や、あなたにどれくらいのライバルがいるのか、そして人気の男女ランキングを集計した用紙をお渡しします」

 けっこうえぐいじゃん?

 もしそれで誰も私に投票してくれなかったら、自己肯定感がまたまたマイナスに減り込むこと不可避だ。

 会場はしんと静まっている。
 他の参加者が何を思っているのかは測り知れない。
 不安? それとも自信?

 男性司会者は構わず続けた。

「そのあとはフリータイムです。こちらから特に順序は決めません。集計結果をもとに、みなさまの気になる異性のところへ、ご自由に移動し、お話しし損ねたことなど、十分にお話しください」

 もしこれで誰とも話せなかったら悲しいよね、きっと……。
 一人今いるブースに取り残された私の姿を想像してみる。
 悲壮な光景だ。

「フリータイムが終わりましたら、いよいよ最終投票、カップリングタイムとなります!
 第一希望から第三希望までの異性の番号を投票していただき、成立したカップルを発表します!
 さあ、ここから一体何組のカップルが成立するでしょうか!?」

 それ、本当にこっちが聞きたい……。
 心臓が不穏な脈を刻みだす。
 緊張してきたな……。

 私が震えているのにもお構いなしに、「では、最初のトークタイム、スタートです!」の合図。

――ああ、始まってしまった……!

 始まってしまったからには、やるしかないっ。
 朝井ひばり、25歳。
 精一杯、この会話を楽しみます!


 ……そんな思いは、ものの数分で打ち砕かれることになるのだが。
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