私の彼氏は真面目過ぎる!【完】
 1番さんはこれらの言葉をさも当然のことのように、演説した。
 それはまさしく演説だった。

 寸分たりとも自分の意見を間違っていると思ってはいない、堂々とした口調。
 あまりにも時代錯誤な男尊女卑思想に、私はもう呆れて声も出ない。

 大和なでしこ? 伝統文化?
 この人新聞読んでます? テレビ見てます?

 なんだか、1番さんが結婚できない理由が分かった気がする。

 多分、Z大の女子大生や、彼の事務所のエリート社員でなくとも、圧倒的多数の日本人女性は、あなたの思想を受け入れられないでしょうね――

とバッサリ言えるほど、私はまだ自分に自信が持てず……。

 でも逆に、初対面の私にさえもここまで詳しく(古すぎる)主義思想を赤裸々に暴露してくれるのだから、親切とさえいえるかもしれない。

 少なくとも交際が始まってから男尊女卑という点に関して後悔することはないだろうから。

「今日のパーティーに来てる男らって、どこの大学出てるんだろうね?」

 満面の笑みで話を変えだす1番さん。

 こんなところでマウント取り始めるなんて、みっともないと思わないのだろうか?

「さあ、大学の話はしなかったもので……」
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