私の彼氏は真面目過ぎる!【完】
「それは僕とも通じるところがありますね。僕も論文を書く機会を頂戴することがあるのですが、その際は英語で論文を書くことになります。なので、英語の勉強は欠かせません」

 丁寧な言葉遣い。表情はぴくりとも変わらない。ちょっと抑揚のない、機械音声のような口調。
 でも不思議とそれは彼自身の存在と調和している。

「英語で論文! 専門用語とか英訳するの、難しそうですね」

「はい。毎日が勉強です」

 そのセリフもまた、真面目そうな結城さんの外見にぴったり合っていた。

「結城さんは、子供の頃からよく勉強ができたんじゃないですか?」

「いえ、そんなことはありません。文系科目がずっと苦手でした。なので、英語がお得意な朝井さんは、尊敬します」
 力強く結城さんは否定する。
 慌てて私も、「いえ、私も得意ってわけでは……!」と訂正する。
 
 そういや、この人はちなみにどこの大学なんだろう? アドバンテージ製薬に就職するには、どれだけの学歴が要求されるのか、単純に知りたかった。

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