私の彼氏は真面目過ぎる!【完】
「結城さん、大変失礼ですが、どちらの大学からアドバンテージ製薬へ?」

 すると、結城さんはなんてこともない雰囲気で、

「Z大学の薬学部ですけど……それがどうかしましたか?」

自慢するでもなく、誇張するでもなく、「朝食にパンを食べました」と言うかのような口調で答える結城さん。

 繰り返すようだが、Z大学は日本の最難関大学中の最難関だ。

「Z大学!? やっぱり、めちゃくちゃ優秀じゃないですか!」

「いえ、Z大学は僕よりもずっと優秀な人ばかりでしたよ。優秀な同級生に囲まれて、いつも刺激的でした」

 おお、さすがのコメントだ……。向上心がすごい。

 1番さんがあれほど「Z大学」だと誇張し、自慢していたのとは対照的な、かといって過度に謙遜しすぎない自然な態度が、好ましかった。

……結城さん、いい人かも。

 そんな風に思い始める私。

 もちろん、彼の会社名や大学名に惹かれたわけではない。

 純粋に私は彼の人柄に惹かれ始めていた。
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