私の彼氏は真面目過ぎる!【完】
……と思ったのだけれど。

「僕が今の研究に進むことになったのは、実は大学の同期のおかげでして。同期たちと研究の話をするうちに、アレルギーを抑える新薬のヒントが得られたんです。というのは、……」

 その言葉から始まったのは、結城さんによる現在の研究とそれに至るまでの構想の過程。
 難しい用語や実験の話が次から次へと繰り出される。

 正直、これまで6人の個性豊かな男性と向き合ってきた身には、その話を聞くのは、辛くて辛くて……。
 あくびをこらえるのに必死になる私。

――た、退屈……。

 どう相づちを打てばいいのかもわからず、「へーえ」とか「そうなんですか」としか返せない……。
 さっぱり理解できない研究の話。聞いていても何もわからない。

 だけど、どうしてだろう。
 退屈なはずなのに、次第に引き込まれていく。
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