私の彼氏は真面目過ぎる!【完】
 もちろん、話の内容にではない。
 研究について語る結城さんの瞳の輝き。
 生き生きとした表情。

 それを見ていると、結城さんがいかに薬の研究に情熱を燃やしているかが、嫌でも伝わってくる。
 彼は自分の仕事に真面目に、真摯に、情熱を傾けている。
 輝く表情に、私の目は釘付けになっていた。

――クソ真面目で話してても退屈に思える男。

 占い師の先生の言葉が、再び心の中で響いていた。

「……というわけで、今よりも低価格で提供できる可能性が……っ」

 結城さんが不意に口を閉ざした。私の目線に気づいたようだった。
 慌てたように、結城さんは、
「大変失礼いたしました。すっかり私の仕事の話ばかりになってしまいました」
と深く頭を下げた。

 とても勢いよく。

 ゴン!

 そりゃあ当然、おでこをテーブルに打ち付けることになるよね……。
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