私の彼氏は真面目過ぎる!【完】
 書かれていたのは、


《4番 結城浩太郎さん》

以上。

 他の人の名前は一切書かれていない。

 私を選んだのは、結城さんただ一人。
 でもこの一人には、もの凄く意味がある。
 他の人の名前がいくつも並べられているよりも、ずっとずっと。

(よ、よかった……)

 私は心の底から、安堵の溜め息をついた。

「ではみなさま、今の紙をご参考に、ご自由に座席移動してください」

 司会者に促され、私の席へやってきた結城さん。
「選んでいただきまして、ありがとうございます」
 そんな堅苦しい挨拶からフリータイムスタート。

 相変わらず口調は固いし、内容も真面目な話が多かったけれど、とりあえず結城さんの人となりはなんとなくつかめた。
 今の仕事で楽しいこと、つらいこと。
 これまで住んだ街の話。
 子供の頃の話。

……決して翔馬とはしたことのない話も、中にはあった。
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