私の彼氏は真面目過ぎる!【完】

第三話 いい彼氏の条件:女性を褒めてくれること

 水曜日の午後6時。

 約束に遅れまいと、定時で切り上げ、駅へ向かう。
 今日は朝の段階でいつもより少し気合いの入ったスカートとパンプスを選んできた。以前婚活パーティーで着ていったのと同じブランドでコーディネートしてみたのだ。

 駅のトイレでマスカラを塗りなおし、眉を整え、リップグロスを仕事のときよりも少し鮮やかな色味のものに塗り替える。それから髪を編み込み、ピンでとめる。
 オフィスモードからデートモードへ、切り替え完了。


 地下鉄で10分ほど自宅と逆方向へ進んだところに、結城さんご指定の中華料理店があるとのことだった。
 中華料理だけど、結城さんはお酒が飲めないわけだよね……早い段階で嘘ついていたことを白状しておかないと。

 そんなことを考えつつ、中華料理店・「紫禁城」に到着。

「あっきらかに高級路線~……」

 庶民の私は決してプライベートでは行かないタイプのレストランだ。中華といえば中華街での食べ歩きか、ラーメン・餃子か……みたいなド庶民なもので。
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