それでも君を
「“えっ…!”ってなんだよ?しないと思ってたのか?」



「や、だっていつも診察の前にやるじゃん。」



「あぁ。だって梨央、今日予約じゃないでしょ。」



そういうルールなの!?



いきなり診察室だったから安心しちゃってたじゃん…!



「えー、やだぁー。」



「やっぱり嫌なのか。どこまで行っても梨央は梨央だな。そんなんで医大受けて大丈夫か?」



嫌がる私を気にも止めず、颯くんがケラケラと笑っている。



そう、颯くんの言う通り私は医大を受験することにしたのだ。



「受けるってだけで受かるか分かんないもん。」



「それは大丈夫。梨央なら受かるよ。」



なんにも根拠がない大丈夫だけれど、なぜか颯くんからの大丈夫は安心するんだよね。



「そうだといいけど。」



「心配すんな。さ、ここで採血しちゃおう。腕こっち乗せて?」

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