それでも君を
「泣いて暴れたから疲れたか?」



「そこまで暴れてないじゃん…!」



大人しく頑張ったつもりなのに、そんなことを言われては黙ってはいられない。



「ははっ、よく言うよ。目がウルウルしてるぞ。
冗談抜きにして、辛いんなら結果出るまでそこのベッドで横になってな。」



からかって笑ってはいるけれど、私のことはちゃんと観察しているらしい。



私もその言葉に甘えて素直にベッドへと向かった。



「ほんとに辛そうじゃん。」



素直にベッドへと向かった私を見て、颯くんがボソッと呟くように言う。



私がベッドへ寝転ぶと、颯くんもベッドの横へ椅子を寄せて座り、私のおでこへそっと手を置いた。



その手が今度はするっと聴診器に伸びる。



さっと耳にセットされたかと思うと、当たり前のように今度はそれが私の方へと伸ばされた。



「やっ…」



「しーっ。」



一応抵抗はしてみたものの、いつもの通りだ。



もう諦めて静かに呼吸することだけに集中する。



「ん、終わり。偉かったな。」



いつの間にか聴診器は私から離れていて、颯くんが優しく頭を撫でてくれた。


< 103 / 604 >

この作品をシェア

pagetop