それでも君を

「…どうして、敬語なの？」



「えっ？そこ？」



やっと喋ったと思ったら、予想外の内容に、目の前の2人がポカンとしている。



「院内なのでつい。嫌なら戻すよ。ごめんね。」



なぜ今そんな話になったのか分からないという表情のまま、水沢先生が謝ってくれる。



なぜか謝る水沢先生を見たら、心が少し落ち着いた。



もう、いいや。



うん、これ以上悪化するのが嫌で今日はここへ来たんだから。



覚悟を決めて返事をする。




「…入院、する。」




「よし、じゃあ病棟上がろうか。」



颯くんのその一言を聞いて、これは本当の事なのだと、急に目の前の出来事が現実味を帯びて感じられた。



あーあ、入院か…