それでも君を
病衣に着替え、案内されたベッドへと寝転ぶ。



家族には颯くんが連絡を入れてくれたらしい。



「また、戻ってきちゃった…。」



「きっとすぐ退院出来るよ。」



独り言のつもりだったのに、返事が来て少しビックリする。



カーテンを開けて入ってきたのは水沢先生だった。



「点滴入れるね。頑張れそう?」



水沢先生のこの優しさも安心するなぁ。



「…やっぱり熱出ちゃった。ごめんね、先生。」



「どうして謝るの?立川さんは悪くないでしょ?」



「だって、心配してくれてたのに…。」



「ちゃんと気を付けてたって分かってる。それでも出る熱は仕方ないよ。それより、この段階で病院に来てくれて嬉しいって思いの方が強いかな。」



ほんとに優しいな、水沢先生は。



なんて、思ったのも束の間。



「点滴左がいいよね?…ここかな。」



「えっ、ちょっと!待ってよ!」



「ふふっ、なんかこの感じ久しぶりだなー。」



ねぇ、なんでちょっと楽しそうなの!?

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