それでも君を
「それなら、ちゃんと約束守らないとだろ?」



約束…。



少しでも身体の異変を感じたら、颯くんに連絡するという約束だ。



頭では分かってはいるのだけれど、病院へ来た後に自分の身に起きる事を考えると、なかなかその勇気が出ない。



なんにも言い返すことが出来ず、うんと首の動きだけで返事をする。



体調も悪いのにもう散々だ。



だから知られたくなかったのに。



その様子を見て、颯くんが呆れたように息を吐き出す。



「なんでそうやって我慢すんの?ほんとは辛いんじゃないの?」



私が自分で言わなくても、颯くんには私の体調なんぞお見通しのようだ。


< 11 / 604 >

この作品をシェア

pagetop