それでも君を
「…さん、立川さーん。」



誰かに呼ばれた気がして、ふっと目を開ける。



「あ、起きたかな?お食事の時間なので、声かけました。ここに置きますね!」



看護師さんが夕飯を運んできてくれたらしい。



「…はーい。」



ぼーっとしながらも返事をする。



もうご飯か…



結構寝ちゃってたなぁ、なんて思いながら、ベッドを起こして体勢を整える。



トレーの中をチラッと見た感じ、嫌いなものは無さそうだ。



しっかりと目が覚めるまでしばらく夕食と見つめあった後、ようやく箸を手に取った。



「いただきまーす。」



ノロノロと食べ出す。



食べ出して気付く、違和感。



ん、なんか気持ち悪い、かも…



数口食べたものの、そこから箸が進まなくなってしまった。



起こしていたベッドにもたれかかるように戻り、気持ち悪さが引くまで静かに耐えることにする。

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