それでも君を
目を閉じてゆっくり静かに呼吸を繰り返す。



けれど、気持ち悪さは全く去る気配がない。



次第に病室に立ち込めるご飯の匂いですら、気持ち悪く感じるようになってきてしまった。



あー、やだな。



吐きたくない…



吐いたら体力が奪われると分かっているから、必死に吐き気に抗う。



暫く我慢していると、看護師さんが食器を下げに来てくれた。



「立川さん、食べ終わりましたかー?ってあれ?全然減ってないですね。」



そして当然、私の異変に気付く。



「どうしました?気持ち悪い?」



聞かれても答えられないよ…



「先生呼びますね。」

< 111 / 604 >

この作品をシェア

pagetop