それでも君を
顔をしかめて耐える。



「吐けるようなら吐いちゃった方がいいんだけどな…」



私の様子を見て水沢先生がそんな事をつぶやく。



や、だから吐きたくないんだって。



と言っても、伝えてないんだから、当然伝わらない。



「腹部触診しますか?」



「したいところだけどね。」



先生と看護師さんがそんなやり取りをしている。



「立川さん、身体倒せそうかな?ベッド戻しても大丈夫ですか?」



とにかく先生に診察してもらいたいのだろう。



看護師さんからなんとも酷な提案が飛んでくる。



ゆっくり細く息を吐き出して、消えるような小さな声で一言だけ伝える。



「む、り、、」

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