それでも君を
自分から発する振動にすら反応して、吐き気が一瞬増強する。



先生の言う通りもう吐いちゃった方がいいのかも…。



「ああ、いいよ倒さなくて。このまま診るから。」



とりあえず吐き気止めを持ってくるようにと看護師さんに指示を出し、水沢先生がこっちへと近づいてくる。



「気持ち悪いの増しちゃうかもだけど、ちょっとお腹診るね。」



なんとなく、先生は私が吐きたくないことを分かってくれているような気がする。



「ごめんね、無理だったら吐いても大丈夫だからね。」



先生が診察のために病衣を上げる、その振動だけですでに無理そうである。



お腹を少し押されると、うっと喉元まで何かが込み上げてくる感じが限界まで強まった。



「…ここ、痛くない、ね?」



痛く、ないです。

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