それでも君を
ふっと笑いながら颯くんがベッドの端に腰掛けたため、その衝撃でベッドがギシッっと沈む。



「や、なんでも、ゴホッ、ない。」



「ふーん?」



何気なく会話しながらも聴診器を取り出して、診察へと取りかかる。



「身体あっついじゃん。これいつから?」



聴診をしようと私の身体に触れたところで、体温の異常に気付いてしまったらしい。



「寝てたから、分かんない。」



「呑気な奴だな。」



そう言いながらも、体温計をすっと私の脇へと挟む。



さらに少し乱れていた病衣の隙間から手を入れて、早業のように聴診を始めた。

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