それでも君を
熱が高いので、とりあえず解熱剤を入れてくれるらしい。



疲れきった私を見て、これ以上痛いことはしないと颯くんが約束してくれた。



ただし、“今はね”と語尾についていたけれど。



颯くんが解熱剤を準備しに行っている間に、ふと先程言われた事について考えてみる。



検査、する側の気持ち、か…



例え医者になれたとして、私は人に針を刺したり出来るのだろうか…



自分が散々経験して痛いと分かっているのに、自分の患者さんにも同じ思いをさせられるのだろうか…



軽い気持ちで医大を目指すと言ったつもりはないけれど、覚悟が足りないのではないかと、今さらながらに思い始める。



考えれば考える程、本当に医者を目指していいのか分からなくなった。



こんな弱い自分に務まる職業なのだろうか…

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