それでも君を
「心を鬼に…?」



「そりゃあ、ね。ごめんね、痛いよねって思いながらやってるよ。きっと青城先生も同じだと思うけどな。」



そうなんだ…



みんなそういう気持ちでやってるんだ。



痛いことをする方にも覚悟がいるのは当然といえば、当然だよね。



「…ありがとう、教えてくれて。」



「どういたしまして。…何か悩んでたの?」



何かに気付いた様子の水沢先生から質問が返ってくる。



「んー、ちょっと。私なんかに医者が務まるのかな、と…
って、まだ大学にすら受かってないんだけどね!」



変に気を使われるのが嫌で、ははっと笑い飛ばす。



「立川さんはきっと、患者さんの気持ちに寄り添った優しいドクターになれるよ。」



大学に受かるかどうかは問題ではなく、先生にはもっと先が見えているらしい。



「そうかな…?」



ストレートに認められるのもすごく照れくさいものだ。

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