それでも君を
「うん。なるべく痛い思いさせないようにって、注射も練習するだろうしね。もう自分で何回も受けてるから、手技もすでにバッチリなんじゃない?今日も自ら体験するもんね!さて、針交換するよ!」



え、ちょっと先生それは強引すぎない?



「そんな理由で体験してる訳じゃないもん。私だって嫌なものは嫌なんだからっ。」



どんな理由があろうとやっぱり痛いことはしたくない。



「嫌だと言っても僕は立川さんのためにやるよ。」



結局、こうなる。



まだまだ医者側に立つ権利さえ得ていない私には、先生の気持ちは計り知れないようだ。



とりあえず今は全力で患者をやるのみ。



「えー。じゃあせめて、もうちょっと後でにしない?」



「しないよ。」



きっぱりと言い切られる。



「なんか先生、颯くんに似てきた…。」



「立川さんの扱い方を分かってきたってことかな?」



ニコッと笑う水沢先生。



いや、そんな笑顔で言うことじゃないからっ!

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