それでも君を
「ほんとに良かったな。
さて、嬉しい結果報告も聞けたことだし、俺そろそろ仕事に戻るわ。」



そう言って颯くんが扉の方へと歩き出す。



「わざわざ待っててくれてありがとっ!」



「おう。大学で困ったことがあれば何でも言ってこいよ。」



素直に感謝の気持ちを伝えると、颯くんからそんな言葉が返ってきた。



頼れるお兄ちゃんからのこの一言は、とても心強い。



「うん、分かった!」



じゃあまたなーと呑気に手を振りながら歩く颯くんを黙って見送る。



扉へ手をかけ、半分外に出た後、ふと颯くんがこちらを振り返った。



「あっ、大人しく診察受けろよ。あんまり水沢先生を困らせないように。」



なにかと思えば、それかいっ!



「もーっ、分かってるよっ!」

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